ハーバルスキンケア:ハンガリーウォーター/ハンガリー水/ハンガリー王妃の水/ハンガリアンウォーター/オー・ドゥ・オングリの作り方(レシピ)と注意点(手作り化粧品に共通するポイント)。



ハンガリー水は、ハーブの化粧水として有名です。霊水とも言われます。

ハーブウォーターとハーブティーの違い:

ハーブウォーター(芳香蒸留水、フローラルウォーターとも言います)は(以下に詳しく書いていますが)ハーブを蒸らして蒸発してきた水蒸気を冷やして液体にしたものです。ハーブティーはお湯を注いだり(浸剤)、お湯で煮出したり(煎剤)したものです。

 

ハンガリーの女王が77歳でポーランドのの王様に求婚されたという、そのハンガリーの女王様の美は、このハンガリー水によって保たれたという逸話です。

以下のようにいろいろな呼び方があります。

ハンガリー水(仏:Eau de Hongrie オードゥオングリ、英:Hungary Water ハンガリーウォーター

ハンガリー王妃の水(仏:eau de la reine de hongrie、英:the Queen of Hungary’s Water)

本当のところは、いつの話か、どの女王様か、ほんとの話かどうか(ハンガリーなのかどうかも含めて。だから全部ですね)は、どうも怪しいらしいのですが、それでもレシピが残っています。わたし個人としては、このレシピが重要なので、本当かどうかはあまり気にしないですが、「ハンガリーで生まれた」という前提で語られています。

ひとつの有名なお話を載せておきます。

王妃エルジェーベト(ポーランド王女でハンガリー王カーロイ1世の王女:1305年〜1380年)に由来するエピソード:

「70歳を超えた高齢の王妃は、手足のしびれ(リューマチであったとされる)に苦しんでいた。それを治すために、修道士、錬金術師、もしくは廷臣が、ハンガリアンウォーターを献上した。これを外用した王妃はみるみる回復し、若返ったことから、ポーランド王に求婚され、ハンガリーとポーランドは一つの国になった。」というもの。

単純に言ってしまえば、ハンガリー水は、基本的には、ローズマリーウォーターのようなもので、ローズマリーをアルコールと共に蒸留した蒸留酒(リキュール)になります。だから、最初の頃には(いつだかわからない)薬酒のようなものだったと思われます。飲んでいたのですね。ヨーロッパにおけるアルコールベースの香水の起源のひとつといわれています。中世のヨーロッパでは、治療薬として、また香水として愛用されたそうです。

蒸留とは、
混合物を一度蒸発させ、後で再び凝縮させることで、沸点の異なる成分を分離・濃縮する操作をいう。」wikipediaより

・・・わかりませんね。化学ですね。これはどうでしょう。

「液体をその沸点まで加熱し,出てきた蒸気を冷却,液化して集める操作をいう。液体成分の分離,精製に使われる。蒸留法には単蒸留のほか,蒸留を繰返して各成分の分離を高める分留 ,減圧下で蒸留する減圧蒸留 (真空蒸留) ,熱に不安定な物質を高真空下で蒸留する分子蒸留や,蒸気圧の高い物質を水蒸気とともに留出させる水蒸気蒸留などがある。」(一部省略:著者注)ブリタニカ国際大百科事典小項目事典より

・・・これならなんとか、このなかの水蒸気蒸留法。

ハンガリー水は、ハーブ(ローズマリー)とアルコール(ウォッカ=度数が高い)を蒸して蒸発してできた蒸留水になります。が、これを何度か繰り返すらしく、大変手間がかかりさらに複雑なようです。

いろいろ調べてみたのですが、結局、蒸留酒「スピリッツ」(=醸造酒を使って蒸留して作ったお酒)を使ってローズマリーを漬けて、さらにそれを蒸留するというのを繰り返すようです。

要するに手間がかかりコストもかかり、よって、この方法では安価なハンガリーウォーターを作ることはできませんので、安価なハンガリーウォーターはその他の方法で作られていると思って間違いないでしょう。その他の方法とは、ローズマリーの葉をアルコールに漬けただけのチンキ剤や、アルコールや精製水のようなものにローズマリーの精油を少し混ぜただけのものなどです。

 

(以下、現存する最古の製造法・使用法:1659年にフランクフルトで発売されたジャン・プレヴォ(Jean Prevot)の小冊子。蒸留法を使用している)

「四回蒸留した生命の水(アルコールのこと)を三、ローズマリーの枝先と花を二とせよ。これらを密閉容器に入れ、五〇時間、微温に保ち、その後、蒸留せよ。毎週一回、朝、この一ドラム(分量)を食物か飲物に入れ、服用すること。さらに、毎朝、あなたの顔と傷んだ脚をそれで洗うこと。」

また薬効の説明では、

「それは体力を回復させ、精神を高揚させ、膝や神経を直し、視力を元に戻し、衰えないようにし、命を長らえさせるのである。」

 

ニコラス・カルペパー(Nicholas Culpeper)が英訳し、1649年に出版された「ロンドン薬局方」(Physical Directory, or a Translation of the London Directory)の記載。

「ハンガリアンウォーター(アルコールによる抽出液を含有)は寒さや湿度による頭の病、脳卒中、てんかん、めまい、だるさ、手足の障害、神経症、リウマチ、イライラ、ひきつけ、痴呆、昏睡、眠気、聴覚障害、耳鳴り、視力低下、血栓、感情の乱れによる頭痛に有効である。また歯痛を軽減させ、腹痛、肋膜炎、食欲不振、消化不良、肝臓病、脾臓病、腸の病気、子宮の収縮に有効である。また発熱にも効能があり高齢者であっても身体の機能を回復させる働きがある(といわれている)。こんなにもたくさんの効能のある治療薬は類を見ない。内服する際にはワインやウォッカに入れるか、こめかみや胸部に塗り鼻から吸い込むとよい。

 





 

ハンガリー水(ハンガリーウォーター・ハンガリー王妃の水)の作り方(レシピ):

用意するもの:
ローズマリーの枝(葉)1カップくらい(200)、ミントの葉大さじ3程度、ローズウォーター1/2カップ、ウォッカ400cc、オレンジの皮(オレンジピール)1/2個分、ガラスの密閉容器、コーヒードリップの濾紙など、なるべく細かい漉すためのもの(布や紙)。

作り方:
1. ローズマリーとミントとオレンジの皮は細かく刻んでおきます。

2. 上記のものを合わせて混ぜます。

3. ガラスの密閉容器を煮沸消毒します。大きな鍋で煮ます。できないときには自己流ですが、沸騰したお湯をまんべんなく繰り返し、密閉容器に注ぎ流します。

4. ローズウォーターを注ぎます。さらにウォッカを注ぎます。ハーブが液体に完全に浸る状態にします。密閉容器の上までできるだけ液体がくるように(いっぱいになるように)します。

5. レシピ名と作成日を書いたシールを密閉容器に貼っておきます。

6. 2週間程度漬け込み(冷暗所)、漉して別のガラス瓶に入れて、化粧水として使用します。このガラス瓶もあらかじめ3の要領で煮沸消毒しておきます。

7.冷蔵庫保存でなるべく早めに使います。季節によって使用できる期間が変わります。

ポイント:
1.煮沸消毒:手作りの難しさ。
2.冷暗所に保存:夏と冬と湿度と明るさと、微妙なので、作るときよりも気を遣うことかもしれないくらいです。
3.「漉して」:何度も漉す作業を繰り返します。

先に書いた、蒸留法とは違います。漉しているだけです。ので、精製度というか純度というか、できたものはぜんぜん違うと思った方がいいと思いますが、雰囲気は味わえます。

さらに、さまざまなバリエーションが生まれて、材料としてこの他に、ラベンダー、セージ、マジョラム、コスタス(木香)、オレンジの花(ネロリ)、レモンなどが加えられたレシピや、

レモンピールかオレンジピール、オレンジフラワーウォーター(芳香蒸留水)、グリセリン、ウォッカ、レモン・ベルガモット・ローズマリーの精油、細かくしたペパーミントの葉というレシピもあります。
出典:Queen of Hungary Water: some experiments in perfumery 香水研究家Nancy M. Booth

 

このほかに、最初にちょっと書きましたが、このハンガリー水の作り方と言ってネットで出回っている簡易的なのがありますね。精油とエタノールやグリセリン、精製水などを加えて混ぜて作るもので蒸留していないものです。

なみきハーブガーデンのローションは純粋なハーブウォーターです。3種類のハーブウォーターをご用意しています。

ビューティープレローションは、ヘチマ水のみでほかに水を一滴も使用していません。そこにハーブを蒸留して入れています。敏感肌から荒れ肌、トラブルになりがちなお肌、乾燥肌、エイジングが気になるお肌などすべてのお肌に対応しています(オールスキンタイプ)。洗顔後のお肌に直接つけます。化粧水の前につけるプレローションです。化粧水の前につけることによって、お肌を清浄にし、柔らかくして、整え、次の高濃度のビューティーローションの浸透を良くして効率よくしていく作用があります。

ビューティーローションは、敏感肌・荒れ肌用と、敏感肌・乾燥肌用の2種類。こちらは白樺の樹液のみを使用しています。やはり水などを一滴も加えていませんの、純粋なハーブウォーターです。お肌別にハーブをブレンドして加えています。

水溶性の美容液と同じレベルですので、少量で潤い、お肌の質を改善していきます。

参考書籍等:

『ハーブのたのしみ』 A.W.ハットフィールド(著)、山中雅也・山形悦子(訳)八坂書房(1993年)

西洋事物起源(二)』 ヨハン・ベックマン(著)、特許庁内技術史研究会(訳) 岩波書店(1999年)

Amazon(中古本のみ)

『クレオパトラも愛したハーブの物語 魅惑の香草と人間の5000年』 永岡治(著)PHP研究所(1988年)

Amazon(中古本のみ)