簡単気軽にエンジョイライフ~極上の単純作業を!#29



 何をやってもうまく行かない。ちょっとしたことが気になってイライラしてばかり。自分が役立たずの人間に思えてならない。このように、どうにもこうにもネガティブな気分から抜け出せない時ってありますよね。

 

 そんな時の脱出法を、誰しも一つや二つは持っているでしょう。お風呂に入る、散歩に出る、音楽を聞きながら横になって目をつぶる。もちろん、とにかく食べるという方法も!

 割とよく聞くのは、「ひたすらお鍋や床を磨いてきれいにする」というもの。靴をピカピカに磨くというのも聞きますね。私は、散歩のほか、草むしりをしたり、玉ねぎを薄くスライスしてあめ色になるまでただただ炒める、ということをします。要は、何も余計なことを考えずにひたすら単純作業に没頭する、というのがいいような気がします。

 

 実は先日、とっても気持ちのいい単純作業を見つけました。それは、目にしみるような緑色の山椒の実を、プチプチと枝から外すというもの。店先で実山椒が目に飛び込んで、「あ、今年も山椒の実の醤油漬けを作る季節がやってきた!」と買いこみ、ちょうど日曜日でもあったため、早速、実を一つずつ小枝から外すという作業を始めました。無造作に外してしまえば、そんなに時間もかからないのですが、やはりできるだけきれいに、軸がつかないように実だけを外そうとすると、それなりに手元の作業に集中することになります。

 

 いつもなら、こうした単純作業の時はテレビを見ながらとか、音楽を聞きながらとか、ながら族でするのが普通なのですが、この時はテレビも音楽もなし。気持ちの良い風が入ってくる窓際に座り込んで、ひたすら外す、外す、外す。なんだか、自分も緑に染まって一粒の山椒になるかのような錯覚を覚えたひと時でした。





 

 特に嫌な気分であったわけではないのですが、買ってきた一パック分の実をすべて外して水に放ち終わった頃には、なんだか気分がやけにすっきり! 恐らく、頭を使わない単純作業に加えて、山椒の色と香りが絶大な効果をもたらしたのだと思います。やっぱり、ただ磨いたり刻んだりするよりも、色がきれいとか香りがいいといったおまけがあると、心地よさが違うなぁ、としみじみ思いました。この手の気持ちよさ、今度は梅の実のなり口の処理で味わえそうです。竹串で一つ一つ梅のおへそを取るというあの作業です。

 

 実山椒も梅も初夏限定なので、できれば季節ごとにこうした気持ちのよい方法を持てるといいな、と思いました。そんなにしょっちゅう落ち込むわけにはいきませんが(笑)。皆さんも「極上の単純作業」をいざという時のために、一つ、二つ持ってみてはいかがでしょう。

青梅
作るのは初夏のお楽しみ。味わうのは夏の間のお楽しみ。青梅は楽しませ上手。

「文筆屋」 大武 美和子

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